2000.4.20
ドキッ!空席だらけの大試写会
またまた行ってきた試写会。
ミッション・トゥ・マーズ
全く聞いた事もなかったし、担当者も「ハズレくさいから」と招待状をくれました。
確かにこの招待状、分析するとめちゃめちゃハズレ臭い…というよりも誰が作ったんだと思うほど要点を押えていません。まず、いかにも火星という赤いワンシーンに、白抜きの太字で
全米第一位!
何が!?
さらに普通このテの映画にはキャッチコピーが付くんですが、それがないのです。このへんは見おわってから理由がわかりましたので後述します。
で、開場15分前くらいに会場に着きましたが、行列は10mほど。会場外にまであふれ出していたトイストーリー2ワイルド・ワイルド・ウェストとは比べるまでもありません。館内も1/3〜半分程度しか埋まっておらず、空席が目立ちます

ストーリーはこうです。
時に2020年、ついに火星への有人飛行が開始され、マーズ1号が火星に降りたった。探索中あきらかに不自然な物体を発見、緊急事態を告げるメッセージの後、交信を断つ。
マーズ1号の救出ミッション開始、マーズ2号が火星へと向かうが、ここでもトラブルが発生。ひとりを失うもどうにか火星に着陸。1号のクルーただひとりの生き残りと合流、謎の遺跡の謎に挑戦する…

まあ、これだけでもありがちの臭いプンプンなのですが、ある意味定番ともいえますので見せ方次第ではかなり楽しくなるはずなのです。が、この映画、全篇低調です。テンションがほとんど上がらない。ひとことで言えば「鈴鹿サーキットを原チャリで全開走行」するようなもんでした。鈴鹿は世界でも有数のテクニカルコースなのですが、60キロしかでない原チャリではほとんど減速しなくても走れます(多分)。つまり、イベントはいろいろあるが予定調和の中あっさりと解決しちゃったりして全く盛り上がらないまま終ってしまう、手に汗握らない映画でした。
キャラクター設計にしても全くアクが有りません。熱血パイロットサイケな科学者冷酷無比な司令官も出て来ません。小説で名前をすべて伏せ、口調も統一したら誰が誰やらわからないと思います。ほとんど唯一の個性の設定として主人公が奥さんを無くしてトラウマ状態というのがあるんですが、それが直接イベントに絡むことはなし!(<何のための設定?)マーズ2号で空気漏れが発生し、主人公決死の覚悟で空気漏れの箇所を探します。薄くなる空気、身体がいうことをきかなくなる。その時目の前をふわふわ浮かぶソフトドリンク(ドクターペッパー!)、「これだ!」とばかりに最後の力でチューブを絞り、主人公は気を失いますが、空気漏れの位置を特定してどうにか危機を乗り越えます。うはあ、かっこいー!しかし、主人公以外全員気密服を着用、空気が薄くなっても平気な格好をしています。主人公も気密服を着ていましたが、なぜかヘルメットを被ろうとしなかったのでこうなってしまったのです。自分のまいた種なのでちっともカッコよくありません
さらにこのアクシデントが原因で、さらに重大なアクシデントが起こるのですが、何が起こるかバレバレな上にそれがカウントダウンで起こるもんですがらハラハラもしません。
こうして火星到着前の大イベントに入ります。確かに危機的な状況ではあるのですが、イマイチ盛り上がりません。予定調和の中「どーせ燃料足りんやろ」「どーせ届かない」「あ、こいつここで死ぬんやな」など、フォレスト・ガンプの最後のシーン(羽根が飛ぶアレ)のような音楽が流れ(この演出は全篇を通じて多用されます)、「感動しなさいよー」と記号的に訴えかけられます。てな具合でプレスシートのあらすじはここまでですが、実はこの映画の見せ場もここまでです。
さて、火星に着陸してからはほとんどノートラブルでことが進みます。
遺跡から発せられる謎の信号を主人公が一発で解いたり(ここでこの映画唯一の伏線、というか、前振りがあったことがわかります)、
なぜマーズ1号のクルーが殺されたのかとの疑問に「それは答えが間違っていたからさ」と一蹴したり、 答えが正しいかどうか確かめるために取った方法がとても安全(ノンフィクションなら正しい判断ですが、これはフィクションなのです)だったり、
しかもそれいきなり正解だったり、
つくば万博のパビリオンよろしく火星の歴史と地球の生命誕生の秘密を全篇CG鑑賞したり、
自動トラップや不測ののアクシデントとはいえ飛行士4人を惨殺した火星人(の立体映像)と手をつないで親しそうにしたり。
パビリオンでの上映会が終り、その遺跡が宇宙船でしかもカウントダウンが始まったことを知った主人公は、家族を失ってしらがみもなくなったことからこの宇宙船に残ることを決意します。ここでも一瞬あっ、大変かな?と思ったりすることがあるのですが、アビスやエヴァンゲリオンで慣れた日本人ならすぐにわかります。
火星を脱出する探査船、その横を猛スピードで通り抜ける火星人の宇宙船。「あれにあいつが乗っているんだ」で、THE END。劇場内のそこら中から「あっけなー…」とため息が漏れ、わらわらと席を立つ人続出。この映画の一般的な評価というものがすべてにおいて実感できる、そんな試写会でした。

さて、冒頭の謎解きモード、謎の全米第一位とキャッチコピーがない理由。
前者はプレスシートでオープニング3日間の興業収入であったことがわかりましたが、裏を返せば4日目以降は自慢できない興業であったと推測されます。最初の3日間に見た人から評価が口コミで広がったんですね。私だってそうです。
次にキャッチコピーがない理由です。私も広告屋の端くれでキャッチコピーを考えることも仕事なのですが、この映画はマジで困ります。だって、ウリがない。いやホントに。手あかの付きまくった火星ネタをそのまんまやっちゃうんだから、困ったものです。命がけも前半だけだしね。
アンタッチャブル、ミッションインポッシブルの監督が、インポッシブル2を蹴って撮った初の宇宙もの!ということだそうですが、「インポ2(この省略はアカンやろ)のほうがよかったね」と正直思います。
ちなみに同僚にこう説明したら、ぜひ行きたいと抜かしました。とても解る気がする^^;


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